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僕は、アキバのPCのジャンクSHOPで、手に入れたパーツで作ったノートパソコンをいつも持ち歩いている。まるで、ライナスの毛布のように。だって、このパソコンを持っているだけで、あの人と一緒にいられるような気がするから…。 ユイさん、僕は、あなたを…。あなたが好きなんです。 「あんた、また、さえないカッコして。髪、切ってきなよ」朝食のテーブルで、姉貴がうるさく言う。父は会社にとっくに行き、朝のテーブルには、困ったような笑みをうかべる母が「弟なんだから、もっと、優しくしてあげなさい」と、姉貴に言った。 どうして、母が僕の味方をするのか、僕はよく知っている。もう、2年間ぐらい、僕はひきこもっていて、食事も、自室で、1人で食べていたからだ。それが、数ヶ月前から、家族と一緒に食事をしている。たぶん、母は嬉しいのだと思う。 姉貴はコーヒーカップを置くと「だって、このコ、中学まで、イケメンだったじゃない。それが、今やね〜」 前だったら、そんな事言われたら、少しでも、自分の心の傷にふれられたらすぐにキレていた僕も、今は、そういうこともなくなった。 「…うっ、うるさいな、僕の勝手だろ」 家族の前だと、そんなに、どもらないで、喋る事ができる。 僕を変えてくれた、僕を助けてくれた人のおかげで、ゆっくりと僕は自分の人生を歩んでいけばいいのだと、教えてくれた。その人のおかげで、僕は少しずつでいいから、変わっていけばいいのだと知った。その人のおかげで、数ヶ月前から、家族と一緒に食事をして、アルバイトだけど働くようになって、言葉にできないくらい感謝しているんだ。自分の人生を愛することを、大切にすることを、傷つく事をおそれない事を、あの人は、優しく、落ち着いた声で教えてくれた。 姉貴も嬉しいのかもしれない。僕がひきこもるのをやめて、普通の生活をしてる僕の事が。でも、やっぱりそれは、考えすぎかもしれない。 そんな僕を見て「でも、あんたって、ホント変わってるもんね。中学の時、ジャニーズ事務所から、電話がかかってきて、ジャニーさんから『ユー、ゲーム大会なんか行くのやめて、来ちゃいなよ』って、誘われたのに、あんたったら、『ゲーム大会の方が大事です』から、なんて言って断っちゃうんだもん。信じられないっ!」 「べっ…、べつに、芸能界なんて興味ない」 勝手に、写真送ったのは、姉貴なんだし。 姉貴の反論はまだ続く「人生、何が起こるかわからないわよ。もし、ジャニーズ事務所に入っていたら、学園モノのドラマで評判になって、賞とか取っちゃって、舞台でも活躍して、本だって、153冊、1年間で読めたかもしれないのに」 「…なっ、なに、わけわかんない事、言ってるんだよ」 ホント、相変わらず、会話がぶっとんでて、ついていけないよ。 もう、からまれるのはイヤだったし、朝食も食べ終わったから、少し早いけど、アルバイトに行くことにした。その前に、アキバによって、ほしいモノがあったし。 玄関から外に出ると、2月の空はきれいな青空で、僕は、ちょっとずれてしまったメガネを指で直した。片腕には、僕が自分で作ったノートパソコンがある。 ちょっとでも、不安になった時、すぐユイさんに相談できるように。 僕は考える。ユイさんに出逢う事がなかったら、僕はどうなっていただろう。 僕は、自分がオタクである事を、恥ずかしいなんて思っていない。でも、世間の人たちは、僕たちを、一般の普通の人としてみてくれない。オタクってだけで、拒否反応をおこす人も大勢いる。僕も、以前は、自分がオタクだって事に後ろめたさを感じていた。ほんの数ヶ前の事なのに、とても昔の事に思える。 ユイさんの人生相談のサイトを知って、僕は変わった。オタクである僕をユイさんは見下したりしなかった。ユイさんは「ページくんが悩んでいるのはわかったわ。でも、人間って、1人1人違うもので、趣味嗜好も違うものだと思うの。だから、ページくんは、オタクである自分を卑下することはないと思う」 僕は、ちょっと納得がいかなくって、急いでタイピングした「でも、僕はオタクだなんて言われたくない。ユイさんの言うことはわかるけど…」 しばらくすると、パソコンのスピーカーから、ユイさんの落ち着いた優しい声が聞こえた。「ページくんは、オタクであってもなくっても、この世の中に、ページくんは、たった1人しかいないんだよ。だから、自分を好きになって」 僕は、急いでまたタイピングした「僕は、自分を好きになれない。時々、消えてしまいたいと思うことがあるんだ」 ユイさんは、そんな、テンションが少しあがってしまった僕の気持ちを、さとすように「残酷な言い方になるかもしれないけど、いつか人間は死んでしまうの。だから、焦る事はないの。ページくんを好きになれるのは、まず、ページくんが自分を好きにならなくっちゃダメだよ」 最後のユイさんの言葉に、僕は、パソコンのディスプレーが、涙でにじんでかすんでみえた。「わたしはページくんの事が好きよ。だから、ページくんも自分の人生を、生きることを愛してほしいの」 僕は、我慢ができなくって、自分の部屋で泣いてしまった。こんな風に僕自身を受け入れてくれる人がいるなんて、思わなかったから。 そうなんだ、僕は、ずっと誰かに、ありのままの僕を受け入れてくれて、好きになってくれる人がほしかったんだ。 何て淋しかっただろう。その事に気がつかないくらい、僕は孤独だったんだ。 急に、寒気を感じた。ユイさんは心配したような声で「ページくん?」と問いかけてくれた。 「ありがとうユイさん。僕は、僕の人生を捨てたりしない。僕はオタクだけど、それはちっとも恥ずかしいことなんかじゃないんだね」 ユイさんは、「わたしもページくんも、この世にたった1人しかいない人間なの。生きることは、決して、恥ずかしいことじゃないの。誰に、何と呼ばれようととも」 ユイさんは、近いうちに、ページくんに逢わせたい人たちがいるのって言っていた。前だったら、他人とコミニケーションとるのなんか、うっとうしかったけど、今の僕は違う。 僕は、今、色んな人たちと出逢って、話をしたい。僕は、僕でしかなくって、でも、この世にたった1つしかないオリジナルで、僕と似ている人はいるけど、僕は、この世界に、たった1人しかいない存在なんだ。 オタクだからって、なにもいじけることなんかないんだ。僕はまだ生まれたての赤ん坊のように、弱い存在かもしれない。 でも、僕は、少しずつでいいから、ゆっくりと変わっていきたい。 そうなんだ。僕は、強くなりたい。 2月のまだ寒い風に吹かれて、コートにマフラー巻いた僕は、駅までの道をゆっくりと歩いていく。 ◆End(再UP) ■とうとう書いてしまいました(笑)ページのバックボーンとか知るために、原作を読んでから書こうと思っていたのですが、我慢ができませんでした(^^ゞ原作読んでいないので、わからないのですが、なんで、「ページ」って言うの? ※ブログ画像素材サイト/http://www.wallpaperlink.com/bin/photostilllife.html |
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